アラフォー男の淡い失恋話1

失恋
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36歳男性、既婚です。地元の進学校を卒業後、現在は専門職について仕事をしています。田舎の地方都市で生まれ育ちましたので、東京や大阪のような大都市の人間とは少し感性が違うかもしれません。また、異性に惚れやすい性格で、そのせいでしばしば難儀した経験があります。

初恋の思い出。初めて恋を自覚した時のこと、覚えていますか?

私の初恋は小学二年生の頃でした。

 同級生のKちゃんを見ると、照れ臭くなり、妙に見栄を張りたくなる気持ちが芽生えました。

他の女の子たちを見てもなんともないのに、Kちゃんにだけは、全然ちがう感情を覚えたものです。

Kちゃんは勉強も運動も出来る子でしたが、露骨に褒めたり話しかけたりしないようにしていました。

なぜならば、この妙な気持ちを、Kちゃんや周囲の同級生に悟られてしまうと危惧したからです。

どうして悟られてはいけないのか?それはわかりませんでしたが、とにかく親や誰にも知られてはならない、重要機密事項だと直感していたものです。

 母親同士が友人同士だったため、私の母が仕事のとき、私と私の妹は、いつもKちゃん宅に預けられました。

同級生もいない状況でしたから、Kちゃんとお話をする機会に恵まれていたのに、私はとにかく照れてしまい、そしてその照れを悟られたくないという一心で、部屋の隅で本を読んだりしていました。

Kちゃんは私の妹と仲良く遊んでいて、ちらちらとその様子を見ながら、もどかしい気持ちを抱いていました。

それでも、Kちゃんの傍にいられるだけで、私は嬉しかったのです。

 小学校三年生に進級したあと。

 Kちゃんは引っ越すことになりました。

お父さんの転勤のためで、クラスのみんなにおしゃれな鉛筆を配ってくれました。

 私は、照れが強すぎるあまり、何も言えませんでした。

引っ越しの日にも、母親が「Kちゃん引っ越すのよ、会わなくていいの?」と声をかけてくれましたが、私は「別にいい」と言ってしまい、見送りもできませんでした・・・。

 それから6年ほど経ち、いくつかの高校を受験する時期になったとき、たまたまKちゃんと同じ高校を受験することになりました。

試験終了後、試験場近くの駅で、私はKちゃんの母親と6年ぶりに再会しました。

私の母親とお茶をしながら試験が終わるのを待っていたそうです。

「Kね、もう少しで来ると思うんだけど・・・」

と、Kの母親は言ってあたりをきょろきょろしていました。

私は初恋のKちゃんに会える・・・という嬉しい気持ちがある反面、またも照れくさい気持ちが出てきてしまいました。

 私の母が、「そろそろ電車の時間ね」と言い、私の手を引きました。

 そこで、母の手を振り払って、「もう少し待つよ」と、なぜ言えなかったのか・・・。

 結局、あと少し待てばKちゃんと再会できて、あの時言えなかった言葉をたくさん言えたはずなのに、好きという気持ちが強すぎるあまり、また照れと弱気の芽が出てきてしまい、私は母とともに帰途についたのでした。

私は複数の高校を受験していたため、結局Kちゃんとは違う高校に進学し、卒業し、Kちゃんとは会うこともなく、今に至っています。

 初恋の思い出は、意気地なしの自分への後悔の思い出です。