アラフォー男の恋愛を聞いて下さい。
当時、私は文系大学生。
初めてのキャンパスライフ、初めての共学で浮かれきっていました。
このままいけばいつか彼女ができるだろうと思っていたのですが、気がついたら2回生。
友達は増えれど彼女ができる気配は一切ありませんでした。
受験戦争を乗り切ったモチベーション
大学受験は戦いだった。
高校の進路分けの時、文系を選択したのも、文系の中でも女子の割合が高い学科ばかり受験したのも、全ては男子だらけの環境から脱出するためだった。
小学校から高校まで男子校という監獄の中に閉じ込められていた自分は、女子と一緒に過ごすキャンパスライフという、何かよくわからないけどきっと素敵であるに違いないものを夢見て勉強に励んでいた。
いや違う、男子校の長付き合いの連中とおバカをしながら、合間にちょっとだけ勉強をしていた。
全ては素敵な女子をゲットするその時のために、大学の文化祭をめぐり、志望校を決め、勢いとリビドーで受験を乗り切った。
結果第一志望からの合格をもらい、自分は浮かれきっていた。
受験も終わった、女の子の多い大学に入ることも決まった、きっとこれで自分にも彼女ができるに違いないと、そんなことを考えていた。
でもそんなのは大きな間違いだということに気がついた時は、大学2回生になっていた。
一年間女の子と遊ぶことはあったけど、一向に惚れた腫れたということにならず、どうもおかしいと考え始めたのだ。
どうしたら彼女ができるだろうと友人に相談しまくった。
その時は大学2年目の春だった。
2年生の春、自分を変えたいと思った
大学2年生になるも彼女は出来ず、そんな中友人のモテ男Aくんに現状を相談して、「どうやったら彼女ができるかな」と相談したところ、「好きな人がほしいのか、彼女がほしいのか、どっちなんだ」と質問に質問で返された。
そういえば彼氏彼女の関係性になることばかり意識はしていたけど、その前提となる恋愛感情を入学以来誰かに抱いたかと言うと、非常に怪しい部分があって、サークルや学科が一緒の女の子と、みんなで遊びに行ったりはしたのだけれど、恋愛というまでには至らなかったのだ。
自分が片思いでもしていたら、まだ状況はマシだったかもしれない。
そこには少なくとも恋愛対象は存在しているからだ。
しかし誰かのことを思うでもなく、うわ言のように「あー、彼女欲しい」とつぶやいていたのが、1年生のときの自分だと気づいて、恥ずかしい気持ちで一杯になった。
また自分にはもてようとする努力が欠けていたということも判明した。
気の利く会話、何気ない心遣い、さり気ない優しさ、清潔感などなど、A君と自分を比べると、人に好きになってもらえる資格が自分にはあるのかと、改めて愕然とした。
だったらどうしたら良いのだろう。
変わらなきゃと思ったのが、人生が変わる始まりだった。
だんだん変わっていく自分
20歳を目前にして、自分を変えなきゃ、何も変わっていかないとやっと気がついた。
モテたいとのならモテるための努力をしなくて平家ないという覚悟も決まった。
妙なプライドもなくはなかったんだけど、それをエイヤッと投げ捨てて、「どこから変わっていったらいいか」という相談を友人みんなにして回った。
さぞかし迷惑だっただろうと思う。
それでもそんな会話に付き合ってくれた友人一同には感謝するしかない。
友人たちとの会話の中で見出した方向性は、清潔感のあるフツメン、さりげなく優しい細マッチョというものだった。
そこから毎日筋トレをする日々が始まった。
体育の時間以外では運動とは無縁だった自分にとって、軽めの筋トレとは言えかなりハードだったのだが、少しずつ肉体が変わっていくのは見るのは結構な快感だった。
身近な女友達にも「最近痩せた」と聞かれるくらいには体型が変わって、それと共に自信がついてきた。
自分は頑張れる人間なんだと信じられるようになったのだ。
今振り返ると人を好きになるために必要なまっとうな自己愛をこの時初めて自分は手にしたんだと思う。
心と体が同時に変わり始めて、本当に楽しかった時期だ。
そしてじきに人生初の本格的な恋愛が始まるとは、その頃の自分には知る由もなかった。
一目惚れってこういう現象のことなんだな
大学2年生の秋、自分は運命の人とサークルで出会った。
彼女をひと目見た瞬間恋に落ちた。
なぜかはうまく説明することが出来ない。
初恋の人と同じボブカットがよく似合っているから、それともすらっとした手足が素敵だから、話し声がかすかにハスキーなのが色っぽいから、などなど理由を上げたらきりがない。
一目惚れして5分後、気がついたら自分は彼女に心の柔らかい場所を射抜かれていた。
彼女は秋入学の学生だった。
帰国子女で英語がとても上手で、将来通訳になりたいからこの学校に来たとか、後期の履修をどうしようかとか、そういう話をいっぱいした。
けど本当に一番よく覚えているのは、彼女と話しているときの胸の高鳴りだ。
心臓が口から飛び出しちゃうんじゃないかと思うくらいに鼓動は早く波打っていた。
彼女と話をしたのは全部で10分にも満たなかったと思う。
我ながらうまくやったと思うのは、「履修とかなんか悩みがあったらいつでも相談してきて」とアドレスをうまく交換できたことだ。
かつての何事にもいまいち自信がない自分だったら、きっとこんなこと切り出せなかったと思うと、自分の変わりっぷりにびっくりする部分もあり、同時に「ガッツいてると思われなければいいけど」なんてことも考えたたりした。
一緒にイルミネーションを見よう
自分の所属していたサークルなんだけど、大学内でのイベントを取り仕切る割と大所帯のサークルだった。
飽きから準備を始める冬の一大イベントがキャンパス全体のイルミネーション装飾だった。
自分もその班に配属され、何ということか気になっている彼女も偶然同じ班に配属されることになった。
これからはサークルでいつでも会えると思うと、胸のドキドキゲージが上がりまくっていた。
サークルで週2,3回会うのに加えて、僕らは週に1,2回ほど通話で話すようになっていた。
最初はメッセージのやり取りだけだったんだけど、ある時気まぐれに通話ボタンを押したら彼女が出てくれた。
正直それだけで天国に昇るような気分だった。
何を話したかは正直上の空で覚えていない、けど会話の最後に「また話そうよ」と言ったら「うん、いいよ」と答えてくれた。
本当に、本当に嬉しかった。
サークルのイルミネーション準備もだんだん忙しくなって、学校に居残る時間も結構長くなってきた11月頃、珍しく彼女の方から電話があった。
一体要件はなんだろうと思って電話を取ると「12月のイルミネーション点灯式を一緒に見ないか」というお誘いだった。
もうNoという選択肢はありえなかった。
そして「これが彼女なりのサインだ」という風に考えていた。
君のことが好きなんだ
12月、クリスマスには少し早い頃、自分たちの大学ではイルミネーションの点灯式を行う。
大学のメインストリートがキラキラした光の装飾で飾られ、普段の風景とは全く違ったロマンティックな風景がそこには広がっていた。
そんな情景を僕は彼女と二人で見ていた。
どちらからともなく「綺麗だね」と、そんなことを言って、やがて沈黙が訪れた。
何を言えばよいのか悩んでいたわけではない、そんな事はとうにわかりきっている。
ただ本当に彼女にそれを受け止めてもらえるか、ただそれだけが不安で、言うのを先延ばしにしていた。
でもやはりこういうのは自分から言いたいと思った。
生まれて初めての「好き」という言葉を。
一目惚れした彼女に全力でぶつけたくなった。
多分そんなにかっこよくはなかったんじゃないかと思う。
「す、好きです」と多少どもったし、彼女が吹き出しかけているのもしっかり見ていた。
だからもうだめかと思った。
自分なんかじゃやっぱり彼女に釣り合わないんじゃないかって。
でも彼女の答えは…「いいよ」。
その時あれ程夢見ていた彼女が出来た。
彼女が出来たのより嬉しかったのは、その相手は自分のとても好きな人だということだ。
自分のできる限り一生幸せにしようと思った。
私の恋愛
とりとめもなく自分の大学時代の恋愛話を書き綴ってみた。
こうして振り返ってみると、非常に青臭いし、人間としての完成度も低いし、恥ずかしいことだらけでいっぱいだ。
だけど彼女に会えたのは、たしかに自分の人生を大きく変えてくれた、自分にとっての宝物のような体験だ。
人を好きになるということ、人に好かれるということ、その喜びと難しさ、この文章では書ききれなかったけど、うまく行ったこともそうでないこともいっぱいくぐり抜けて、僕と彼女は未だに一緒にいる。
ひょっとしたらそのうち結婚をするかもしれないが、そんな先のことは神様でもない限りわかりゃしない。
僕たちにできるのはいまそばにいるお互いを大事にすること、今を全力で楽しみ切ること、それだけだ。
そんな中で作り上げてきた二人の思い出が、多分将来振り返ってきた時にかけがえのない記憶として存在するものなのだろう。
彼女とあえて本当に良かったし、願わくは今後も彼女と一緒に入られたらと思う。