オンラインチャットでの出会い

恋愛
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今は結婚して子供もおり、毎日バタバタとしつつもそれなりに平和な日々を送っています。

これは私が21歳の時のことです。

当時、女子大生だった私は初めてできた彼氏だったので、客観的に自分の彼氏がどんな人なのかが全く分からない状態でした。

恋愛で思想家の彼との出会い

当時、女子大生だった私にできた初めての彼氏は、なんとオンラインでの出会いでした。

今でこそ「出会い系サイト」も盛り上がっているようですが、当時はそういうサイトは(恐らく)無く、普通の「チャットしましょう」というようなページで、彼と出会うことになりました。

当時の私は、初めて買ったパソコンを使うのが嬉しくて、毎日のようにチャットルームに入り、私と同じく読書が趣味の人と出会い、日々チャットを楽しんでいました。

今となっては随分暗いことをしていたなあと思いますが、当時は日中は友達と大学やカラオケに楽しみ、夜はネットの世界に埋没していました。

毎日色んな人たちとチャットを楽しんでいたのですが、そんな日が続くとメンバーがある程度固定するようになってきました。

そのメンバーの中で、物知りでたくさんの本を読んでいる男性がいました。

どんな話にも冷静な対応をして、若者らしからぬ大人な態度のその人に、いつからか好意を抱くようになっていました。

チャットルームのメンバーから特別な相手に…

そのうち、その彼との会話が楽しくなってくると同時に他のメンバー達があまり入って来なくなってきたことに気付きました。

そして、そのことに気付いた彼がメールアドレスを教えてくれたのです。

お互い、何も伝えたことはなかったのですが、彼に個人のメールアドレスを教えてもらったのはとても嬉しくて、夜中なのに1人で騒いでしまいました。

教えてもらったからと言ってすぐにチャットルームから抜け出すのも何となくきまり悪かったので、それからも1週間ほどはチャットルームに顔を出していましたが、彼はもう入ってくることはありませんでした。

私も、メアドを聞いたからと言ってすぐにメールすることもできず、10日ほど迷っていましたがチャットルームでも会話できなくなり寂しくなったので思い切って彼にメールをしてみました。

そして、それからは夜だけでは無く日中も普通にメールをし合う関係になり、彼の住んでいるのが私の隣の県で、通っている大学は私の住んでいる市内だということが分かりました。

メールのやり取りを始めてから1ヶ月ほど経った頃、彼から「もし良かったら一度会いませんか?」という連絡が来ました。

リアルな世界での出会い

メールのやり取りを始めてから、いつかそんな日が来るとは思っていましたが、実際に会うとなるととても緊張するものでした。

会う日を決めたからというもの、どうしたら良いのか、何を話せば良いのか、散々悩んでる間に約束の日がやって来ました。

彼と待ち合わせしたのは、私の住んでいる地域では有名な橋のたもと。

待ち合わせ時間よりだいぶ前に着いてしまいましたが、その橋に近づくのに躊躇してしまい、結局は時間通りに行くことになりました。

「来てなかったらどうしよう」という気持ちが一番強かったのですが、彼はそこにいました。

私より1歳歳上のその男性は、痩せていて背が高くて、正直、イメージと違いました。

(私は痩せた人があまり好きではないのです)

でも、顔はとても格好良くて、絵のモデルになりそうな人でした。

橋で待ち合わせしたからか、出会いが出会いだからか、初めの5分くらいはお互い川を見つめながら話をしました。

私には兄もいますし、男友達も数人はいたので男性に免疫がないわけではありませんでしたが、彼は今まで私が見たことの無いタイプの人でした。

ハンサムだけどドケチ

初めは少しぎこちなかったのですが、そこは大学生。

お互いの大学の話やアルバイトの話をしているうちに、友達と話しているような感覚になってきました。

彼は、顔は良いのですが少し変わった考えをしてたりするせいで友達が少ないらしく、私が話すことにいちいち驚いて「そんな考えの人出会ったことないよ!」と言っていました。

(私は至って普通のタイプで、特に変わったことは言ってません)

しばらく歩きながら話していましたが「お茶を飲もう」と言うので、私が普段友達や姉と行くカフェに一緒に行くことにしました。

メニューを見た彼が仰け反りながら言いました。「高ッ!!」と。

そのお店は特別高いお店でもありませんでしたし、私は日常的に行くお店だったので、その反応にとても驚きました。

そして、もちろん別々の会計でした。

お店では又会話が弾みましたが、お店を出るなら彼が「高いお店だったね〜、君はお嬢様なんだね。」と言い「今度は僕がおごってあげるね、マックで」と笑顔を向けてきました。

ネットの出会いならでは…?

初めてのデート(と言うのでしょうか)は、カフェで会話をして、ぶらぶらと歩いて終わりました。

異性と2人きりで長時間過ごすという経験は生まれて初めてだったので、少し「?」と思うことはあっても、別れて家に帰った時は家でニヤニヤしていました。

夜に彼からメールがあり「思っていたのと全然違ってすごくかわいくて驚いた。

うまく話せなくてゴメンね」と書いてあり、その文章を何度も何度も読んで1人でニヤついていました。

実際に付き合うようになるまで、その後4回ほど会って遊園地に行ったりしました。

遊園地に行く時に「今日もしかしたら告白されるのかなぁ?観覧車とかで。」などと妄想をしていましたが、実際は普通に遊び、普通にバイバイをしてその日は終わりました。

ちょっと拍子抜けした気持ちは残りましたが、遊園地もすごく楽しかったので、満足していたら帰宅した後メールが来ました。

そこには「今日はすごく楽しかった。ジェットコースターではしゃいでる君の顔がすごく可愛かった」などと書いてあり、それを読んで胸を高鳴らせる反面、どうして対面で言ってくれないのかなぁ?とも思いました。

ネットで知り合う場合の「あるある」かもしれませんが、なんだか少し気持ちがざわざわしました。

リアルな世界でのお付き合い

遊園地に行った翌日、彼からメールが来ました。

「もし良ければ付き合ってくれないかな?」という内容でした。

正直「キター!」という気持ちと、「なんで直接言ってくれないんだろうか」という気持ちの両方がありましたし、すぐに返信することができませんでした。

でも、私もチャットルームで会話を膨らませた同じ穴のムジナ。

結局はその日のうちに「OK」と言い、付き合い始めることになりました。

実際に付き合ってみると、彼は顔はとてもハンサムなのですがなぜか特定の思想が強すぎて、会話を続ければ続けるほど、議論めいたものになっていくことが多くなりました。

彼の大学での専攻は「政治哲学」だったのですが、教授にも「生まれてくる時代を間違えたね」と言われるほどの革命思考の持ち主でした。

私は論破されるのが嫌いなので一生懸命本を読み、彼の思想と闘っていました。(笑)

ある日、急に心が冷めました。

私に特別な人ができたわけではありませんが、議論し合うために付き合うなんてナンセンス、そんな風に思い始めたらもう一緒にいられなくなりました。

最後に

顔が見えない世界だからこそ自分の本音わ出せるチャットルーム上での付き合いを、リアルな世界に引き出してきてみましたが私の場合はうまくいきませんでした。

結局、お互いに思っていることを顔を見ながらでは言えず離れてからメールで伝え合う、ということが付き合う前からも付き合い始めてからもずっと続き、リアルなのにリアルじゃないような関係に疲れてしまいました。

チャットルームではカッコ良いと思っていた彼でしたが(実際に見た目はカッコ良かった)他人との関わり方を見ていると、実は気弱で自信の無い人なんだ、というところか見えてしまい、幻滅することにもなってしまいました。

彼とは私から別れ話を切り出して終わらせたのですが、その後がそれはそれは大変な修羅場でした。基本大人しかった彼がストーカーになったのです。

数え切れない程のメールに電話、着信拒否していたら手紙まで送られてくる日々が続き、私も少し参ってしまいました。

最終的には彼が就職が決まり、遠くに行ったところで縁が切れましたが、今思い出してもなかなか濃い恋の体験だったと思います。