今、私は主婦をしている30代前半の女性です。
今の若者みたいにお付き合いを楽しく中々出来ず、男性をみるとかなり緊張してしまう、そんな性格でした。
初めての印象はおしゃれなサラリーマン
恥じらいがあり、中々男性と仲良く出来ない私をみかねて、親友が二人対二人の飲み会を設定してくれました。
こんな私が行ってみんな楽しいかな、緊張しないかな、盛り上がらせれるかななど、そんなマイナスのことばかり考えてですが、自分にとって精一杯のおしゃれをして友達の家にむかいました。
初めて出会ったその日、その彼だけ遅れてきました。
「もう一人くるんだけど、遅刻やな。ごめんね。」ともう一人の彼が言ってくれます。
一時間程遅れるから先に飲んでいようということで、得意料理なその男性がちゃちゃっとメインとサラダを作ってくれ、私たちは感動していました。
素敵な食事がならび、梅酒で乾杯したあたりのことでした。
ピンポンと音がして、その彼が紙袋にはいったスパークリングワインを持ってスーツでやってきたのです。
そっけない彼はきっと早く帰りたいんだ。
「遅くなりました。」と、なんとなくそっけない話し方だったので、私を見てがっかりしてるんだとマイナス思考な私は少し申し訳ない気持ちになりました。
お土産といっておしゃれなスパークリングワインをつくえにおき、「おまえの料理はやっぱりプロ並みだよな。」
と感心しながら料理を楽しみ始めます。
あまりにさりげない雰囲気で、初対面とは思えない始まりだったので自己紹介することもみんな忘れていたほどです。
料理を作ってくれた彼が「自己紹介してないな。」といってそれぞれようやく自己紹介をしました。
特に盛り上げるわけでもなく、気を遣う感じもなく、あまりに自然なその場に私は初めて緊張と言う言葉をわすれて楽しんでいました。
男性の前で自然でいられることが初めてだったのです。
中々男性と仲良くできない私の中の壁。
私には人には言えない心の壁があります。
男の人がいるととたんに心が壁をつくってしまうのです。
そのために心の底から男の人と仲良くなったことがありませんでした。
声をかけてもらっても、好意をもってもらってもいつもいつも断ってばかりでした。
断るたびに私はいつも自己嫌悪、その繰り返しの人生でした。
そんな私をみかねて親友が私を今日のこの場に誘ってくれたのです。
そんな事情を知るはずもない彼。
仲の良い友達になれたら私は嬉しいなと思っていました。
男と女になってしまうと、私の心はひとたび壁をつくる作業をしてしまうので、友達になりたい、素直にそう感じていたのです。
ただそんな気持ちでその日は四人で料理を食べたり、仕事の話をしたりしていました。
そっけない彼のさりげない優しさ。
はじめの印象から最後辺りまで、いつも自然体でがつがつしていない、そんな彼が最後の辺りでさりげない優しさを自然に見せてくれました。
おとなしい私にどこか壁をすでに感じたようでした。
それを感じてからなのか、彼がさりげなく話をふるようになってくれたのです。
嬉しくもあり、恥ずかしくもあり、ですが私は気にしないふりをして普通に話していました。
親友が突然、「この子は可愛いけど、ただそれだけで軽く連絡先とか聞くような事をしたら私がとめるからね。」
と言いました。つまり、大事なこの子に手を簡単に出すなと男たちにくぎをさしてくれたのです。笑
「簡単に連絡先なんて聞かないよ。」と答えていました。
私はホッとしながらも複雑な気持ちになりました。
真剣に向き合おうとし始めた彼のまなざし。
私が普通の女性ではないとなんとなくわかったその会話のあと、じゃんけんに負けた私と彼はなくなったお酒を買いにいきました。
「きっときみは今までたくさんの色んな嫌な経験を男性からしてきたんだね。ごめんね。」
「え?」と私が聞くと、「男性の代表として、情けなくなってしまったから、あやまらせて。」
と言ってくれました。何故だかわかりませんが、とても嬉しかったです。
「どうしても男の人とは軽く付き合えなくて。私こそごめんなさい。」と言いました。
「みんな普通に男の人と付き合って、デートしたりショッピングしたり電話したりできるのに、それが普通には出来なくて。
どうしてもみんなみたいに簡単なこととは思えなくて。こわくて。」
知らない間に彼には打ち明けていました。
あ、面倒な女だと思われたな。きっと彼は引いてる。そう反省していました。
そしてその日は連絡先を聞かれることもなく終わりました。
その会がまた開かれた二回目のことです。私の親友に彼が、「連絡先、あの子にちゃんと聞いてもいいか?」
と言ったのです。
「真剣てこと?」
「あの子が普通じゃないのはわかってる?守れる?」と確認しています。
彼が言いました。
「全部わかってる。」
それから私と彼は連絡先を交換し、二人で会う事になったのです。
背伸びしても届かないくらいの素敵な彼。
彼は私にはあまりにももったいない人でした。
なんでも知っていて、頭もよくセンスもあって友達もたくさんいる。
どうしてこんなに素敵な人が私を見つめてくれるのだろう。
二人で会うとそんなことばかり考えてしまうのです。
そしてオシャレな食事に素敵なバー。
さらには優しい話し方。
とても幸せでした。
二人でいるだけで幸せなので、付き合うことなんて考えられないのです。
「おれは付き合いたいと思っている。大事にする。裏切らないし、壁はゆっくり低くしていってくれればいいから。」
と何度も言ってくれました。
その優しいまなざしで何度も言ってくれたのですが、、やはり駄目でした。
彼が素敵すぎて、自分には合わない。どうしても考えてしまうのです。
まとめ
今までに出会った一番素敵な彼は、ずっと心の中にいます。
彼が良い歌だねと教えてくれた大事な歌も二つ、私の心の中にずっとあります。
最後の最後まで私と向き合おうとしてくれましたが、逃げてしまいました。
眩しすぎて素敵すぎて終わりがくるのが怖くて、自分をさらけ出して嫌われるのがこわくて、
「うん。」と最後まで言えませんでした。
二人で会って朝まで話をした場所。
一緒に聴いた歌。
一緒に乗ったタクシーの中。
最後に分かれた改札口。
いつまでも忘れない大事な私の宝物です。